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卒後教育

旭川医大皮膚科の卒後教育

1.臨床研修プログラム(初期臨床研修医向け)

1)目標

 皮膚疾患は、国籍・性別・年齢を問わずどんな人でも起こりうるため、臨床に携わる医師は何科であっても、皮膚の異変に遭遇することが避けられません。本臨床プログラムでは、皮膚科を志望する・しないにかかわらず臨床医師として必須の、体表の「視診」「触診」や縫合などの「処置」を学び、「診断」「検査」や「治療」を経験することで、各種皮膚疾患に対する初期対応を身に着けることを目標としています。

2)内容

 初期研修2年間のうち、選択必修科目もしくは自由選択科目の期間で皮膚科を選択していただきます。

外来業務:

指導医とともに患者を診察します。上級医とともに各種検査(真菌検査、病理検査、パッチテストなど)や、各種治療(紫外線療法やレーザー、冷凍凝固療法など)、各種処置(切開排膿、外傷縫合、生検、小手術など)を行います。

★病棟業務:

診療グループの一員として、指導医や上級医とともに入院患者の診療にあたります。選択必修科目で皮膚科を選択した者は、主として皮膚外科診療班に属し手術や処置をメインに研修します。

★その他:

医学生対象の講義(発疹学、皮膚外科、感染症、皮膚病理等)を聴講し、これまでの知識の再確認を行い研修に役立てます。また、講座で行われる各種勉強会(皮膚病理、臨床診断、抄読会、各種カンファランス、講演会等)に参加します。また、研修期間中に行われる学会や研究会、講演会などへの出席も促しています。

3)実績

 皮膚科医以外の進路として、膠原病内科や糖尿病内科、小児科、麻酔科、精神科など、さまざまな科を専攻した先生方が選択しており、皮膚科との架け橋となってくれています。

2.後期研修プログラム(皮膚科専門医希望者向け)

1)目標

 本プログラムでは、皮膚科を専門とする医師として必要な高度な専門知識と診療技術を身につけるとともに、皮膚科以外の分野へも幅広い興味を持って探求し、世の中に貢献できる質の高い皮膚科専門医を目指すことを目標とします。。

2)内容

 本プログラムでは、皮膚科を専門とする医師として必要な高度な専門知識と診療技術を身につけるとともに、皮膚科以外の分野へも幅広い興味を持って探求し、世の中に貢献できる質の高い皮膚科専門医を目指すことを目標とします。

前期:

初期研修中に皮膚科を選択した者はその期間を考慮し、大学で1~2年間をかけて基本的な皮膚科の診療技術を身につけます。

★中期:

市中病院に勤務し、先輩皮膚科医の指導のもとに診療を実践します。実際の診療では、治療に難渋することや様々な疑問点、興味のあることが次々と起こってきます。そこで再び大学に戻り、各地でさまざまな経験を積んだ同僚達とのディスカッションや先輩達からのサジェスチョン、勉強会や自主研究などを通じて自身の診療を検証し、新たな知識や技術を獲得します。その成果を再び市中病院に持ち帰り診療に応用します。この実践と検証のサイクルを繰り返すことで、理論と実際とがうまく混ざり合い、バランスのとれた皮膚科医としての力が付いてきます。興味を持った事柄をさらに突き詰めたい人へは大学院への進学を勧めています。また、優れた知識・技術を身に付けるため他施設へ臨床研修に行くケースもあります。

★後期:

一人前の皮膚科医として、大学で診療や研究、学生や後輩の教育指導に携わる道、国内海外への留学、市中病院で地域の皮膚科診療に従事する道、など、さまざまな選択枝があります。

3.卒後3年目(後期研修1年目)での大学での研修について

★外来業務:

初診および再診外来を担当します。初診外来では指導医の診療を補助しながら、各種検査や処置を行います。再診外来では実際に患者を担当し、自分自身で診断から治療、その後のフォローまでを、上級医の指導を受けながら一貫して行います。

★病棟業務​:

病棟診療グループに属して入院患者の診療を行います。皮膚科病床数は22床で、症例は皮膚腫瘍のほか、感染症、炎症性皮膚疾患、自己免疫疾患、など多岐にわたります。毎週グループ内で患者さんの診断や治療方針を討論し、さらに総回診でも皮膚科スタッフ全員で検討・確認することで、診療内容の向上とチェックとを行っています。

★地域貢献:

一人前の皮膚科医として、大学で診療や研究、学生や後輩の教育指導に携わる道、国内海外への留学、市中病院で地域の皮膚科診療に従事する道、など、さまざまな選択枝があります。

スキルアップ:

講座内で行われる各種勉強会(皮膚病理、臨床診断、抄読会、クリニカルカンファランス、医学英語等)に参加し、専門的な知識を身につけるとともに、難解な症例について詳細な検討を行う機会を確保しています。また、各種学会や研究会・講演会への出席も促し、幅広い視野をもてるように配慮しています。年2回以上の学会発表が義務付けられています。

4.他大学出身者・他科出身者の受け入れについて

当科では、出身大学に関係なく同じ条件で研修します。他科から皮膚科に専攻を変える場合は、皮膚科の基礎を学んで頂くため、初期研修修了者と同じ条件でスタートします。大成するか否かは、それまでの他科での経験と入局後の努力によると思いますが、皮膚科は非常に応用の利く分野ですので、他科での経験は決して無にならないのが面白いところです。実際にこれまで外科、病理、形成外科、整形外科などから皮膚科に転向した先生方がいます。

5.皮膚科専門医制度ついて

皮膚科領域の診療技術が一定の力量に達したことを証するものとして、日本皮膚科学会が皮膚科専門医制度を設けています。しかし、平成27年(2015年)4月から初期研修を始める先生からは、新しい専門医制度となる予定です。新制度では皮膚科は基本領域専門医に属し、初期臨床研修(2年間)のあと、少なくとも3年以上の専門的な研修を受けることとなっています。さらに人口や患者数を念頭に各施設での専攻医数に定員を設ける制度などが検討されており、今後さらに具体的な議論が進むものと思います。
専門医資格取得は当講座での研修目標の一つですが、それがゴールではありません。専門医になっても分からないことはたくさんあり、解決方法を探り常に勉強することが求められます。当科における研修の最終的な目標は、皮膚に関する事ならどんな問題でも向かい合い、患者や他科医師、コメディカルからの期待に応えられる、真の意味での“皮膚専門”医師を養成することにあります。

6.関連病院での研修について

前述のように、大学で皮膚科診療の基礎を身に付けた後、各地の市中病院で診療を行います。それぞれが特色のある診療を行っており、複数箇所で研修することで、より多くの経験が得られます。

 

2021年度現在の市中研修病院:

  • 市立稚内病院

  • 名寄市立総合病院

  • 北見赤十字病院

  • 旭川厚生病院

  • 市立旭川病院

  • 旭川赤十字病院

7.大学院進学や留学、遊学(他施設での研修)について

・進学志望者には大学院進学の進路があります。学内(当講座、基礎系講座)、国内他施設での大学院進学が可能です。
・大学院修了後は海外留学の選択肢があります。
・臨床のスキルアップを先進施設で行う道もあります。国立がんセンターや虎の門病院で学んだ先生が、その成果を北海道に還元しています。

8.出産や育児との両立について

皮膚科は仕事と出産・育児を両立させやすい分野だと言われています。在宅でもスキルアップが可能で、多様なジャンルから得意分野を見つけやすく、ブランクから復帰しやすい等が理由と思います。
大学には子育てをサポートしてくれる二輪草センターや、24時間院内保育園、病時・病後時保育室があり、育児短時間勤務制度や二輪草枠医員など、個人個人の希望や能力に合わせた就労が可能な環境が整っています。関連病院ではケースバイケースですが、非常勤医師として仕事を継続できた例もあります。また、当講座には子育て中の医師が多く男女を問わず理解が得られやすいのも特徴です。子育てが一段落した先生が復帰して、後輩たちの子育てを支える循環が出来上がりつつあります。なお、皮膚科自体は決して世間一般で言われるような「楽」な科ではないことを申し添えます。

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